Silver Night-シルバーナイト-
「莉愛!アイス食べて食べて!!」
やけに賑わう駅前だけれど、私達が歩くに連れそれは次第に波のように人が避け空間を開けていく。
アイスを食べながら先頭を歩く私と佑衣も、もちろんそんな光景の中心で。慣れてしまえばこれはこれで混雑時も歩きやすくて良いのかもしれない。
まぁジロジロと見られるのは永遠に慣れる気がしないけど……
「やっぱアイスはチョコ味だよね」なんて話しながら歩いていると、胸元辺りにいきなりかけられたたくましい誰かの片腕が、ガッシリと私を掴みそのまま重力で後ろへと引き寄せられて行く。
あまりに突然の事におどろきながらも、されるがままに身体は動いていき後方へと倒れると
そのまま、トンっと何かが背中に触れた。
それが梓の胸元だと気がつくまでにはそう時間はかからなくて、私の身体をしっかりとホールドした彼を見上げれば…梓の視線は見たこともないほど険しく鋭くて。真っ直ぐ前へと向けられていた。
それがただ事じゃないと気がついたのは、梓の隣にいた琉聖も悠真も、そして佑衣までもが険しく少し遠くの方を見つめていたから。