Silver Night-シルバーナイト-




私も同じ方を見つめてみるけれど、一体何が起きているのか分からない。



けど、しばらく梓の腕の中でジッとしていると…それが何なのかやっと検討がついた。



少し遠くの方に見える人集り。



いや、人集りというよりかは人が何かを避けるようにして道が出来ているようにも見える。



それは今まで何度も見た異様な光景。
そして今自分達がいる空間と同じ景色



少し先に見える数人の男達は、独特なオーラを放ちそしてこちらへと真っ直ぐに進んでくる。



何故だか怖い…とそう思ったのは…彼らを何処かで見た事があるようなそんな気がしたから。




私の鎖骨辺りにあった梓の腕は、いつの間にか腰あたりへと移動してきていて…その手にギュッと自分の手の平を重ねれば、梓がそれに返すよう力強く握りしめてくれる。



「…梓……」



首だけを後ろへと向け、梓の方へと振り向けば…よほど私が心配そうな顔をしていたのか




「大丈夫だ、心配するな」




いつも通り、低くて心地の良い声が私の耳をかすめた。




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