Silver Night-シルバーナイト-
何度も抱きしめ合った。
お互い靴のまま部屋に入っていた事にも気付かないほど。
何度も何度も……
だけど、抱きしめ合えば合うほど……何故か胸が苦しかった。
どこか切ない感情がつのった。
真夜中、二人で窓辺に座りながら外を眺める。
いつも一人で見下ろす夜景とは違う。
後ろから梓に抱きしめられるようにして包み込まれた温もりが、心地よくて幸せで仕方なかった。
特に何かをするんでもない。
ただ二人で一緒にいるだけ。
それだけの事なのに無性に満たされていく。
「悠真達心配してるかな?いきなり出て行ったから」
「あいつは察しが良い、大丈夫だ」
「そっか」
「あぁ」
「話し合いもしなくて良かったの?」
「しねェ。今までした事もない」
梓から返ってきたのはさっき琉聖に聞いた答えと同じ返答。
「うちの奴らは自分が何をするのかちゃんと直感で理解してる。だから何かあった時も話し合いはしねェ、自分の意思でチームの力になるよう常に皆んな考えて行動してる」