Silver Night-シルバーナイト-
「私は……」
今まで何度もこの気持ちを飲み込んだ。
何度伝えたくても伝えないと心に決心してきた。
だってきっと…それを言ってしまったらもう後戻りなんか出来なくて……
梓を私だけのモノにしたいと歯止めが効かなくなってしまうから。
独り占めしたいと思わずには居られないから。
だけどそれはきっと梓には重荷で……
いや、違うか。自分が傷付くのが怖いんだ……
この気持ちを声に出して認めてしまった時、梓があの子の元へと行ってしまう事が怖い。
あの子の隣にいる梓を見ているのが辛い。
私の隣にいてと叫んでしまいたくなる。
私だけを見てと彼を閉じ込めてしまいたくなる。
そんな自分になるのが怖い……怖くて怖くて仕方ない……
それなのに、梓が好きで
……大好きで
想いは大きくなるばかりで……
「……好き」
まるで言葉が溶けていくみたいに……
「私、梓が好き」
言葉が溢れ出した。