Silver Night-シルバーナイト-
「大丈夫か?」
しばらくしたころ、琉聖が私からゆっくりと離れて顔を覗き込んでくる。
「大丈夫なわけないか」
私を心配気に見つめながら彼は自分の着ていた上着を脱ぐと、それをそっと私にかけてくれた。
「…ありがと」
「良いよ、お前の子守なら慣れてる」
少しだけ明る気に言ってみせるのも、きっと私を元気付けるため。
本当にそうだ。私はいつも琉聖に助けられてる。
琉聖は「行くぞ」と言って私の手を取るとそのままゆっくりと歩き出した。
行くってどこに行くんだろう……
今は何にも考えられない。考えたくない。
瞼が重たいし、ノドの奥も痛い。
頭痛もしてくる……
泣く事がこんなに辛いなんて。
人を想うという事が…こんなにも苦しいなんて。
ただひたすら、琉聖に引かれるがまま歩いた。