Silver Night-シルバーナイト-
「えっと…今、コンビニに来てるよ」
私は、嘘を付いた。
『コンビニ?何で』
「えっと…聖が来るならお菓子とか飲み物いるかなと思って。それより聖こそどうしたの?」
いきなりこんな電話をしてくるなんて初めてだ。何かあったのかな…それに何か怒ってるみたいだし…
『いや、朋也が莉愛のこと駅前で見たって。しかも男といたとか言うから』
え?朋也君に見られてたの…?
朋也君は聖の親友で、同じ生徒会のメンバー。私と話すことはほとんどないけれど、挨拶くらいはする仲だ。
まさか聖の友達に見られてたなんて思いもしなかった。
「えー見間違いじゃない?」
そう答えた私に聖はだんまりすると、少ししてから『なら良いけど』と小さく答えた。
『俺、次の授業受けたらもう莉愛ん家行くから』
「え?何で?大丈夫だよ、最後まで受けなよ」
もし今聖に家まで来られたら困る。
だってここは明らかに私の家の近くじゃない…駅前から車で10分は来たはず、
『いや、行くから』
今日の聖はやっぱり変だ。
私が返事するよりも早く聖は勝手に電話を切ったらしく、気がついた時にはプーップーッと通話終了を知らせる音が響いていた。