Silver Night-シルバーナイト-
以前も確かこんな事があった。
間宮の家がうんざりで…孤独で虚しさに押し潰されそうで……
そんな時見つけてくれたのは梓だった。
だけど今はもう違う、梓は来ないし……目の前にいる人物は望んでいた人物じゃない。
「族に関わってる女が一人で出歩くなんて、シルバーナイトは随分ゆるいんだな」
そう興味も無さそうに呟いた男は雨にもかかわらずポケットからタバコを取り出すと、それに火を付けた。
嗅ぎ慣れない匂いが鼻をかすめる。そういえば…シルバーナイトの皆んながタバコを吸っている所を見た事がない。
不良といえばタバコを吸ってそうなイメージなのに、彼等からこの香りがした事は一度も無かったように思う。
「来いよ、これ以上濡れたら風邪引く」
視線で後ろにある車を見ると、その後私を視界に入れて入るよう促してくる。
来いって…シルバーナイトと黒雅は敵対してるのに…付いていくわけがない。
行ったら何をされるか分からないし、そもそもさっき助けてくれたのだって疑問なくらいだ。