Silver Night-シルバーナイト-
この人とこれ以上ここにいるのは危険だ。
「さっきは助けて頂きありがとうございました」
いきなり倉庫を出てきたから、きっと皆んなも心配してる。
それにいい加減寒くなってきた。考えすぎのせいか頭も酷く痛い。
いくら今は戻りたくないと思っていても…いつまでもこうして雨に濡れているわけにもいかない。
私は足元に落ちてあったぐちゃぐちゃになったノートを手に取ると、そのまま彼の横を通り過ぎて歩き出した。
「待てよ」
新の横を通り過ぎた時、勢いよくいきなり引っ張られた腕。その反動でグラリと上半身が揺れる。
転ぶ!っと反射的に思ったのは良いものの…上手く手足に力は入らなくて、それどころか何故か視界がボヤけていった。
あぁ、なんだかふわふわとした気分だ。
力も視界も体温も、全て曖昧で分からない。
「おいッ!」そんな焦ったような声が耳の遠くから聞こえて来たころ、私の視界は真っ暗になって…身体に少しの温かみを感じた後そのまま自然にゆっくりと瞳を閉じた。