Silver Night-シルバーナイト-
どうしよ…
どうしよう…どうしよう…ヤバイ!早く帰らないと!!
思いがままにガタンっと大きな音を立てて立ち上がり前を向くと、どうやら悠真も琉聖も私の事を見ていたらしい…
でも梓だけは何故か目をつぶり腕を組んでいる。
「あ、あの!私帰らないと」
きっとあと1時間もしたら聖は塾を出てしまう。確か聖の塾は駅前で、私の家も駅のすぐそばだから歩いて五分くらいで着いてしまう…
一体車で10分って走って何分くらいなんだろう。そもそも私道分かるのかな?
「じゃあ送って行くよ」
立ち上がっている私に合わせるようにして悠真はそう言うと、扉の方へと歩いて行く。
「え?大丈夫です!走って帰るので」
「走って帰るってお前元気かよ」
何故か私の『走って』というワードにハマったらしい琉聖はケラケラと笑いながら腹を抱えている。
え…そんな笑う事?
「莉愛ちゃんの家どこなの?」
「駅前のマンションです」
「そしたらここからだと結構かかるよ」
「いや…でも…」
「連れてきたのは俺だし、颯も助けてくれたし送らせて?」
目尻を下げて優しく笑う悠真は、とても暴走族になんか見えなくて…もはやただの爽やかなお兄さんにしか見えない。