Silver Night-シルバーナイト-
「良いよね、梓」
私を見下ろしていた視線を写してソファーに堂々と座る梓に悠真は目を向けるけれど、それに対して梓の返事はまるでなくて
それなのにもかかわらず
「良いってさ」
いい…のか?
この人何にも返事してなかったけど…これって良いってことなの…?
私には良く分からない。
私には分からないけど、でも…悠真と梓の間には暗黙の何かがあって…心の中が繋がっているのかもしれない。
だから私には全く分からなかったけれど、梓は悠真に何かオッケーってサインを送っていて、悠真はそれを察知したのかもしれない。
男の子って不思議だ…言葉がなくても会話が出来るなんて…
「行こうか」と悠真に言われその背中を小走りで追うと「じゃーなー」と琉聖に言われ「お邪魔しました」とだけ言って外に出た。
でもやっぱり、梓はスルーだった。
さっきは話してきたのに…こっちを見るどころか、さっき見た時のように腕を組んで目をつぶったままだった。