Silver Night-シルバーナイト-
「あの日、莉愛ちゃんは颯を助けてくれたでしょ。その時に俺達申し訳ない事に一人逃しちゃったんだ…数日して捕まえる事が出来たんだけど、その間に莉愛ちゃんの事が奴らに知られてしまった」
「私のこと…?」
「そう。颯を助けた事によって、莉愛ちゃんが俺らの仲間じゃないかと奴らは勘違いしたらしい」
なるほど……そんな事になってたなんて。
「黒雅は卑劣で汚い事を平気でしてくる。莉愛ちゃんを見つけ出して何か危害を加えて来るんじゃないかって俺達は思ったんだ」
確かに、颯をボコボコにしていた時も…意識の遠ざかる颯を何の躊躇もなく傷つけていた…
「内緒で後をつけていたのは、これ以上莉愛ちゃんと俺達が接触していると黒雅に思われないため。もし勘違いだったと奴らが気が付いて莉愛ちゃんに手を出さなかったらそれ以上に良いことはないからね。だけど…黒雅はやっぱり莉愛ちゃんを利用しようとしてきた」
今日の出来事を思い出して、思わず背筋がゾクリと揺れる。
あの男の気持ち悪い視線と声…
もし三人が来なかったらと思うと……
「莉愛ちゃん、本当に巻き込んでごめん」
深々と頭を下げる悠真と、私の隣では困ったように右眉を下げている琉聖。
梓はというと膝の上で両腕を組み、それをじっと見つめている。