Silver Night-シルバーナイト-
颯に今日行ったカレー屋さんのおススメメニューの話しを聞いていると
低音でいて、どこか心地の良い音が辺りに響き渡り…そして倉庫内に一台のブルーのバイクが入って来た。
バイクはそのままプレハブ前まで行くと、ゆっくりと停車し、そして乗っていた人物がメットを外す。
それがまるで映画のワンシーンのように私の脳裏に焼きつく。
色鮮やかに煌めく白銀の髪
何度見ても綺麗だと、息を飲んでしまう。
バイクを降りたのは、梓。
周りを見渡すと、ここにいる全員がその光景を息も忘れるほど黙々と見ていて、
梓は跨っていたバイクから降りると、一瞬だけこちらをチラリと見る。
少しだけ遠くを見つめているような、何だか儚い瞳……
梓に気が付いた皆んなが流れるように挨拶をしていたけど、その瞳を見た私は何故だか動く事が出来なかった。
そのうちプレハブの階段を上っていく音が聞こえてきて、皆んなの会話がまた元どおりに始まる。
梓の瞳……なんだかいつもと違って見えた。
気のせいかな……
まだ数回しか会った事がないんだ、私の気のせいかもしれない。
だけど……この時の私は何故だか凄く気になって仕方なかった。