Silver Night-シルバーナイト-
予想外の言葉にキョトンとしていると「いいから早く入れ」と言われ、おずおずと部屋へと上がり込んだ。
リビングに入ると、そこは思ったよりもずっと広い空間が広がっていて、モノトーンで揃えられたシンプルな家具たちが並んでいる。
リビングの奥には一つ扉があって、もう一つ部屋があるみたいだ。梓はそこに入って行きしばらくして戻ってくると、私に何かを投げてきた。
「わっ」
それは黒のスウェット上下と大きな水色のバスタオル。
「風呂入ってこい」
「え!いいよ、大丈夫!!」
ただでさえ迷惑をかけているのに…その上お風呂を借りるなんて。
「風邪引くだろうが」
「引かない引かない!私滅多に引かない!!」
そう言って顔をブンブンと横に振って見せれば、何故か梓は「ふっ」と口角を上げて楽しそうに小さく笑うと
「どんだけ否定してんだよ」
何故だか胸がドキンと大きく音を上げた。
少し苦しいくらいに心臓はドキドキと鳴り響き、そして私の胸を軽く締め付ける。
少しだけ眉を垂れさげ、可笑しそうに笑っている梓。
笑ってるところ始めて見た……
それが凄く魅力的で魅惑的で…思わず吸い込まれてしまいそうになる。