Silver Night-シルバーナイト-
梓は、本当は何もかも分かっているのかもしれない。
昨日私に何かがあって…あんな所に一人でいた事。
彼は面倒くさいから送ってくれなかったんじゃない。
本当は一人でなんていたくないのに……
あんな風でしか自分を維持出来ない私の事を分かってた。
だから、昨日の夜は…何も言わずここへ私を連れて来てくれたのかもしれない。
あの温もりも、抱きしめる大きな腕も、少しだけ優しい重みも。
全てが梓の優しさだったのかもしれない。
まだ出会って…数回しか会った事がないのに。
「逃げ出したくなったら連絡しろ」
「…………」
「迎えに行ってやる」
「………うん」