冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
王太子の決意
城の離宮に戻ったフィラーナがまずは向かった先は、ルイーズの部屋だった。予期せぬ災難に見舞われたことが原因とはいえ、自分が急に姿を消したことを申し訳なく感じていたのだ。
フィラーナが先に戻っていると思い、部屋を訪ねたルイーズだったが、フィラーナつきの侍女のメリッサから『フィラーナ様はとある理由で外出中です』と留守であることを伝え聞いたので、特に不安は感じていなかったという。
むしろ、ルイーズはセオドールとたくさん話す時間を作ってくれたフィラーナに感謝していた。
「セオドール様は私のこと、覚えていてくださったの。フィラーナの言った通りね。思い出話から始まって……あ、お描きになった絵もたくさん見せていただいたのよ」
明るい笑顔で話すルイーズを見て、フィラーナも嬉しくて口元を綻ばせる。こんなにも喜んでもらえたなら、ミラベルたちから嫌がらせを受けた記憶もたちまち霞んでしまいそうだ。
そして、フィラーナが宿で湯浴みをしている間に、ウォルフレッドが城に使いを出し、フィラーナの無事と保護を伝えていたらしく、レドリーから知らせを聞いていたメリッサは心配よりも期待に満ちた瞳で、離宮に戻ってきたフィラーナを出迎えた。
「殿下とご一緒だったんですよね? 殿下が候補者のご令嬢と外出なんて、これまで聞いたことがありませんもの。もしかすると、ですわね」
「メリッサが期待してることなんて何もなかったわよ」
フィラーナが先に戻っていると思い、部屋を訪ねたルイーズだったが、フィラーナつきの侍女のメリッサから『フィラーナ様はとある理由で外出中です』と留守であることを伝え聞いたので、特に不安は感じていなかったという。
むしろ、ルイーズはセオドールとたくさん話す時間を作ってくれたフィラーナに感謝していた。
「セオドール様は私のこと、覚えていてくださったの。フィラーナの言った通りね。思い出話から始まって……あ、お描きになった絵もたくさん見せていただいたのよ」
明るい笑顔で話すルイーズを見て、フィラーナも嬉しくて口元を綻ばせる。こんなにも喜んでもらえたなら、ミラベルたちから嫌がらせを受けた記憶もたちまち霞んでしまいそうだ。
そして、フィラーナが宿で湯浴みをしている間に、ウォルフレッドが城に使いを出し、フィラーナの無事と保護を伝えていたらしく、レドリーから知らせを聞いていたメリッサは心配よりも期待に満ちた瞳で、離宮に戻ってきたフィラーナを出迎えた。
「殿下とご一緒だったんですよね? 殿下が候補者のご令嬢と外出なんて、これまで聞いたことがありませんもの。もしかすると、ですわね」
「メリッサが期待してることなんて何もなかったわよ」