冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
『女性に興味のない変わり者の氷の王太子』の理由を知って、フィラーナは複雑な思いを胸に秘めたままゆっくりと俯く。
(最初から誰とも……。きっと今でもその決意は変わらないんだわ)
しかし次の瞬間、突然強く手を握られたフィラーナがハッと顔を上げると、いつの間にか自分に視線を戻していたウォルフレッドの切なげな表情が視界に飛び込んできた。
「……そう思っていたが、俺はお前を諦めきれない」
「え……」
予想外の言葉に、フィラーナの身体は硬直したように動けなくなってしまった。
「だが、この先のお前の人生を棒に振らせると分かっていながら何の説明せず自分の感情を押しつけるのは、あまりにも身勝手で卑怯だ。それならば、いっそ手放して他の男へ嫁いだ方がお前も幸せになれる、と何度も自分に言い聞かせたが……無理だった。往生際の悪い愚かな男だと思われても仕方ない」
「ウォル……」
「……こんな俺に嫌気がさしたのなら、迷わずこの手を振り払ってくれ。知ったからといって、無理に俺の心に寄り添おうとしなくていい。……俺にはお前を縛りつけておく権利はない」
ウォルフレッドの手の力が、少しずつ緩まっていくのが分かる。
(最初から誰とも……。きっと今でもその決意は変わらないんだわ)
しかし次の瞬間、突然強く手を握られたフィラーナがハッと顔を上げると、いつの間にか自分に視線を戻していたウォルフレッドの切なげな表情が視界に飛び込んできた。
「……そう思っていたが、俺はお前を諦めきれない」
「え……」
予想外の言葉に、フィラーナの身体は硬直したように動けなくなってしまった。
「だが、この先のお前の人生を棒に振らせると分かっていながら何の説明せず自分の感情を押しつけるのは、あまりにも身勝手で卑怯だ。それならば、いっそ手放して他の男へ嫁いだ方がお前も幸せになれる、と何度も自分に言い聞かせたが……無理だった。往生際の悪い愚かな男だと思われても仕方ない」
「ウォル……」
「……こんな俺に嫌気がさしたのなら、迷わずこの手を振り払ってくれ。知ったからといって、無理に俺の心に寄り添おうとしなくていい。……俺にはお前を縛りつけておく権利はない」
ウォルフレッドの手の力が、少しずつ緩まっていくのが分かる。