冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
「陛下はいつ妃をお決めになるの!? 殿下はお選びにならないんでしょう、だったら陛下にお取り次ぎ願った方が早いんじゃなくって!?」

 ミラベルに賛同するように、令嬢たちも一斉に頷く。

「まあ、落ち着いてください。殿下はそう仰いましたが、陛下は『婚姻は双方の相性によるもので、国王はあくまでそれを承認するのみ』とのお考えでして、つまり、殿下に一任されております」

「何言ってるの? でも、殿下にはそのおつもりはないんでしょう!?」

「でしたら、ここでご辞退なさいますか?」

「それはっ……」

 レドリーの声が静かに響き、ミラベルは思わず言葉を飲み込んだ。

「先ほど殿下はそう仰いましたが、皆様次第で、お気持ちに変化が生じるかもしれません。この選考に期限はありませんが、もしご辞退を希望されるようでしたら、いつでも仰ってください。殿下から帰郷を命じられた場合も、速やかに従っていただきます。また特別な理由なく離宮と周辺の庭園から出ることは禁止されておりますので、そのおつもりで」

 レドリーは事務的にそう述べると、再び丁寧に頭を下げて謁見の間から退出していった。
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