冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
難攻不落の王太子相手に今後の展開をどう進めていこうか思案しているのか、八人の令嬢たちも無言で、迎えに来たそれぞれの侍女と共に自室へ戻っていく。
しかし、フィラーナの頭の中だけは“王太子攻略”ではなく、その逆ーー“王太子回避”でいっぱいだった。
(ウォルが王太子様だという可能性が高い今は、下手に動かない方がいいわよね……。いきなり帰郷を願い出ても、正直に理由なんて言って、もし本当に本人だった場合その方が問題になるわ。目立たないようある程度日数が経ってから、やっぱり自分には続けていく自信がない、とお断りするのが妥当ね。……それまでには誰かに決まるかもしれないし)
自室のソファに座ったまま考えこんでいたフィラーナは当面の対策としてそう結論づけると、メリッサの淹れてくれた紅茶のカップに手を伸ばし、ようやく一息ついたのだった。
しかし、フィラーナの頭の中だけは“王太子攻略”ではなく、その逆ーー“王太子回避”でいっぱいだった。
(ウォルが王太子様だという可能性が高い今は、下手に動かない方がいいわよね……。いきなり帰郷を願い出ても、正直に理由なんて言って、もし本当に本人だった場合その方が問題になるわ。目立たないようある程度日数が経ってから、やっぱり自分には続けていく自信がない、とお断りするのが妥当ね。……それまでには誰かに決まるかもしれないし)
自室のソファに座ったまま考えこんでいたフィラーナは当面の対策としてそう結論づけると、メリッサの淹れてくれた紅茶のカップに手を伸ばし、ようやく一息ついたのだった。