witch
落とされた影

凍える心

その日は、雪が降っていた。

「あぁー、寒い」
真冬の寒さに耐えられず、独り言を漏らす。

今日の朝食はカップラーメンと牛乳にすることにした。

カップラーメンをスーパーの袋から取りだし、やかんを用意する。そのやかんに自分の手から出した水をたくさん入れる。
私は最近自分の能力で水道代の節約が出来ることに気づいた。
お陰で水道代はこの能力を使う前と比べて十分の一くらいに減った。

やかんの蓋を閉じ、コンロの火を付け、お湯を沸かす。
沸くまでの待ち時間で、牛乳の用意をする。
牛乳を出そうと冷蔵庫の取っ手に手をかけるととそこに掛けてあったカレンダーが目に写った。

十二月。カレンダーが示した月はあの桜の季節は似ても似つかない冷たい季節だ。
こまりと塊の襲撃にあってからもう半年以上が過ぎた。
こまりはあの日を最後に私の前には現れなくなった。

お湯が沸いた音が聞こえる。高い音がいつもより不愉快に感じられた。
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