witch
いつもの下校途中、私は「いつも」の中では見かけない光景を見かけた。
ないとが誰かと会話している。
学校に友達もいない、彼女もいない彼が誰かと話す姿は珍しい。

私は声をかけようかと思ったが二人の表情が思ったため、ただどこではないことを悟る。

私は近くにあった物陰に隠れ、会話を盗み聞きした。

「だから、そのままの意味だって。俺んち来いよ」
ないとの話相手は少し苛立っている様子だ。
遠くからでは分からなかったが、よく見ると話相手はいつの日かお世話になった時彦の息子の作郎だった。

作郎は黙り込んでいるないとに痺れを切らしたのか、軽く舌打ちをした。

「いつそのお前を狙っている女が遅いに来るか分かんないだろ?お前一人じゃ危ないから俺んちで守ろうってんだ!」
作郎は語尾を強くして言った。

「でもよ、母さんに何て伝えれば…?」
ないとは作郎を小馬鹿にしている様な雰囲気だった。


しかし、作郎はどこか呆れた様な雰囲気だった。
「お前の母さん、俺がこの話をしたらむっちゃ喜んでたぞ。お前、母さんに嫌われてんだろ?いや、捨てられ…」
「黙れ!」
作郎の言葉を遮ったないとの声は低く唸るような声だった。その声からは深い憎しみを感じる。

私は触れてはいけないものに触れた気分だ。

殺意。あの声はこの言葉が似合う気がした。
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