witch
崩壊

色づく日常


翌日の朝の寝起きは最高だった。
いつもより早く起きて、支度を始める。
いつもと何にも変わらないのに、朝ごはんはおいしくて、歯磨きと着替えすらも楽しく感じる。
本当に、久しぶりに幸せを感じた気がする。
しばらくは、苦しい日々が続いていたから。

母に大きな声で行ってきますを言うと、それにつられたのか元気な行ってらっしゃいが帰って来た。

学校に着くと、下駄箱には靴を履き替えているももかちゃんがいた。
ももかは私を見つけると太陽のようなまぶしい笑顔で走って近づいてきた。

「おはよ!」
「ももかちゃん、おはよう!」
私も彼女に負けずと明るい笑顔を向ける。
するとももかちゃんは少し驚いた顔をした。

「すずねちゃん、いつもより元気だね」
「それは、ちょっと嬉しいことがあって」
「何々ー?気になる!」
「えー、内緒!」

何気ない、いつも会話も宝物に思えるぐらいに楽しい。
こんな幸せが近くにあったのに見えていなかったんだ。


「あ!そういえばももかちゃんがこの前言ってたゲーム、持ってきたよ!」
「え?ほんと!?」

ずっと前に約束していた、ゲームをももかちゃんにこっそり渡す。
先生に見られたら大変だから。

「今週中に全部プレイして返すね!」
「全然急がなくていいよ!そんなすぐに返さなくても」
「ううん、私暇人だからきっとすぐ終わるよ!」
「本当?無理しないでね」
「うん!大丈夫!!」

ももかちゃんはゲームをロッカーの奥に入れて、手前を体操服のバックで隠した。
これで外からは全く見えない。


すべてが完璧だと思った。このときは。
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