witch
「ようやく解放されるんだ。化け物である悲しみから苦しみから。やっと、会いに行けるんだ。ずっと前に死んだ、友に、家族に。やっと、やっと、この孤独から抜け出せるんだ」
粉雪さんは、地面に倒れこんだ。

話したい言葉が見つからない。
何て声をかければいい?



「死んじゃ嫌だよ、人が死ぬのなんて見たくないよぉ」
こまりの弱々しい涙声が聞こえる。

「粉雪さん、私、粉雪さんに命の恩人になってほしくないよ」
考えて、考え抜いて繰り出した言葉。
気の効いた言葉なんて言えやしない。
でも、これだけは伝えたい…。
「死なないで……」
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