witch
本格的に学校生活が始まっても、こまりが私に話しかけてくることはなかった。
彼女はずっとあの男子のことを目で追っていて私には目もくれない。
だんだんこんなこまりに苛立ちを覚え始めていた。

憂鬱な気分の中始まった、中学校最初の国語。
担当はこのクラスの担任の長野先生だ。
長野先生は始まりの挨拶が終わるなり、自己紹介をやると言った。

私は自己紹介などとてもめんどくさかったが、あの男子の情報が入ると思うと少しやる気が起きた。
それと同時にあの男子を知るきっかけをくれた自己紹介に生まれて初めて感謝した。

あっという間にあの男子の番が回ってきた。
彼はめんどくさそうな顔をしてだるそうに立ち上がった。自己紹介の声もだるそうだった。


彼の名は、大川ないと。好きな科目は歴史らしかった。
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