困難な初恋
サー、とシャワーの音が少し聞こえる。
その音を聞きながら、なんで俺、ゲームなのにここまでしようとしてるんだろう。
ビールをあけながら考えた。

じゃぁここでやめる?

ここで何もせずに返して、連絡を徐々に減らして、
秋葉がはじめ言ったように、

「ちょっと、俺たち、合わないかもね」

そういえば多分簡単に終わる。
それだけ。
秋葉はもう自分に笑いかけることもなくなるだろうし、
キスにこたえてくれることもないだろう。

その姿を思い浮かべ、フル、と首を降る。
なんでそんなことを今。
思ったよりも、緊張しているのかもしれない。

「ありがとうございました」

少し湿った髪で、より幼い印象になった秋葉が俺の部屋着で出てきたとき、
さっきまで考えていたそんなことは全て吹き飛んだ。
< 14 / 38 >

この作品をシェア

pagetop