あの駅でもう一度、君を待つ。
意識もしっかりしているし、何よりさっきまで見ていた駅の光景が今、はっきりと見えている。
右手に違和感を覚え、起き上がる。
私の手は、誰かに握られていた。
顔を覗くと、あのベンチで寝ていた彼だった。
どういうこと?
私は、私は……、自殺に失敗したの?
嘘でしょ……。
「どうして……?」
私の声は、空中へと消えていく。
また、電車のドアが開くと人が出てくる。ほとんどの人が気づかないでいたが、何人かは怪訝そうにこちらを見ていた。
彼は痛そうに顔をしかめていたが、やがて目を開けるとキッと私を睨んで言った。
「馬鹿じゃねえの?今、何しようとしてた?まさか、じさ–––」
「うそでしょ………やだ、そんな、いや……っ」
とにかく頭が真っ白だった。ショックで涙が止まらず、嗚咽が漏れる。息が苦しかった。