凛々しく、可憐な許婚
「尊は咲夜ちゃんをしっかり送っていくんだぞ」

「わかりました」

咲夜は、大学卒業と同時に実家を離れ、現在、このはな学園が借り上げているという教員向けマンションに住んでいた。

このはな学園からは車で15分くらい。

この旅館からなら30分くらいだろうか。

地下駐車場には監視カメラがあり、玄関には管理人も常駐しているためセキュリティも万全だった。

もっとも、教員用とはいえ、咲夜は自分以外の教員とそこであったことはなかったのだが。

「それでは帰ろうか。咲夜さん」

道実と義明、兼貞は、連れだって運転手付きのハリヤーに乗って行ってしまった。

「帰るって,,,送ってくださるんですか？」

「もちろん」

なんとなく、このまま真っ直ぐには帰してもらえないような気がしていたので、咲夜はホッとため息を漏らした。

「ありがとうございます」

助手席のドアを開けて、優しくエスコートしてくれる尊に一瞬、見惚れる。

"こういうところが王子様なんだよね"

咲夜は、お辞儀をして助手席に乗り込むと、背もたれに体重をあずけた。

"疑問は何も解決していないけど、なんかもう疲れた"

動き出した車の中で、ゆっくりと目を閉じた咲夜は、いつの間にか眠っていた。
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