凛々しく、可憐な許婚
「咲夜は本当に料理が上手だね」

お互いの親に挨拶が済むと、マンションへの帰宅途中にあるショッピングモールに立ち寄り、二人は生活に不足しているものや夕食の材料を買い込んだ。

二人はさっとシャワーを浴びると部屋着に着替え、今は一緒に料理中である。

「本当にコロッケなんかで良かったんですか?もっと美味しいものもたくさんできるのに」

夕食は尊の希望でコロッケになった。

「咲夜のお父さん,,,兼貞さんがいつも、"咲夜のコロッケは絶品だ"って自慢してたから、一緒に暮らせるようになったら絶対作ってもらおうって心に誓ってたんだ」

茹でたジャガイモを潰しながら、嬉しそうに尊が言った。

「私のコロッケはお子様向けの甘い肉じゃが系コロッケですよ。普通のコロッケとは味付けが異なるのでお口に合うかどうか,,,」

「大丈夫、君が作るものなら何でも食べたいよ。ああ、手がジャガイモで汚れてなかったら抱き締めるのにもどかしいな」

おどける尊に苦笑する。

「相変わらず尊くんは激甘ですね」

尊を見上げて微笑む咲夜に

「だけどこっちは空いてる」

と、尊は素早く咲夜に顔を近づけて、唇にキスをした。

「た、尊くん、危ないから」

玉ねぎを刻んでいた包丁を落としそうになってしまい、咲夜は尊を嗜めた。

「潤んだ目をしてたから誘われてるのかと思ってつい,,,」

「こ、これは玉ねぎ,,,」

「さ、次は何すればいい?」

ニコッと笑って話を切り替える尊にため息をついて、咲夜は料理の手順を説明していった。



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