凛々しく、可憐な許婚
「,,,ねえ、咲夜」
夕食が済み、リビングでお気に入りの映画を観たあと、二人は眠りにつくため同じベッドで一枚の羽毛布団の中に潜り込んだ。
尊が咲夜の体を抱き寄せると、至近距離に二人の綺麗な顔が接近する。
尊が咲夜の焦げ茶色の瞳をじっと見つめる。
「君が俺の気持ちを受け止めてくれたのは本当に嬉しいよ。でも、君の正直な気持ちはまだ聞いていない」
この2日間、尊は咲夜に想いを伝え、この婚約にかける熱意を伝えてくれた。
咲夜もその想いに感銘し結婚を承諾した。
「尊くんをはじめて知ったのは、私が高校1年生の時のインターハイ地区予選でした」
尊の腕の中で体を丸めた咲夜は
「先輩達が"王子"って呼んで騒いでて、その方向に目を向けたら、丁度、尊くんが大前で弓を構えるところで,,,」
と言って頬を赤らめた。
「なんて綺麗な人だろう、なんて綺麗な弓構え、射形なんだろうって見とれてしまいました」
言葉を遮ってキスしたくなる気持ちをグッと我慢して、尊は咲夜の言葉を待った。
「あの時からずっと、私は尊くんのことが気になっていたんです。翌年のインターハイ地区予選で雅臣先生が話しかけてきた時も、尊くんのほうが気になって,,,」
我慢できずに、尊はぎゅっと咲夜を抱き締める腕に力を込めた。
「た、尊くん、痛いよ」
「ごめん、嬉しくてつい」
尊は、抱き締めた腕の力を緩めて、咲夜を見つめた。
「尊くんが引退してからは会えなくなったけど、その後も、試合や昇段試験で弓道場に行けば尊くんの姿を探していたし、このはな学園に就職したのも、弓道部の顧問になったのも、もしかしたら尊くんとOB会なんかで再会できないかなぁ、なんて邪なことを考えていたからだし」
「うん,,,」
「雅臣先生や唯李ちゃんから、昔の尊くんの話が出たときはもっと尊くんのこと聞きたい、って思ってたけど言えなくて,,,」
「うん,,,」
「昨日、尊くんが私の許婚だったことがわかったときは本当にビックリしたけど、相手が尊くんで嬉しかったし、長い間こんなに大切に思ってくれてたなんて、私,,,本当はずっと昔から,,,」
潤んだ目を向けてくる咲夜の次の言葉に期待がこもる。
「尊くんのことが好き」
咲夜が呟いた言葉。
それは、尊の積年の思いを満たす、宝物のような言葉だった。
夕食が済み、リビングでお気に入りの映画を観たあと、二人は眠りにつくため同じベッドで一枚の羽毛布団の中に潜り込んだ。
尊が咲夜の体を抱き寄せると、至近距離に二人の綺麗な顔が接近する。
尊が咲夜の焦げ茶色の瞳をじっと見つめる。
「君が俺の気持ちを受け止めてくれたのは本当に嬉しいよ。でも、君の正直な気持ちはまだ聞いていない」
この2日間、尊は咲夜に想いを伝え、この婚約にかける熱意を伝えてくれた。
咲夜もその想いに感銘し結婚を承諾した。
「尊くんをはじめて知ったのは、私が高校1年生の時のインターハイ地区予選でした」
尊の腕の中で体を丸めた咲夜は
「先輩達が"王子"って呼んで騒いでて、その方向に目を向けたら、丁度、尊くんが大前で弓を構えるところで,,,」
と言って頬を赤らめた。
「なんて綺麗な人だろう、なんて綺麗な弓構え、射形なんだろうって見とれてしまいました」
言葉を遮ってキスしたくなる気持ちをグッと我慢して、尊は咲夜の言葉を待った。
「あの時からずっと、私は尊くんのことが気になっていたんです。翌年のインターハイ地区予選で雅臣先生が話しかけてきた時も、尊くんのほうが気になって,,,」
我慢できずに、尊はぎゅっと咲夜を抱き締める腕に力を込めた。
「た、尊くん、痛いよ」
「ごめん、嬉しくてつい」
尊は、抱き締めた腕の力を緩めて、咲夜を見つめた。
「尊くんが引退してからは会えなくなったけど、その後も、試合や昇段試験で弓道場に行けば尊くんの姿を探していたし、このはな学園に就職したのも、弓道部の顧問になったのも、もしかしたら尊くんとOB会なんかで再会できないかなぁ、なんて邪なことを考えていたからだし」
「うん,,,」
「雅臣先生や唯李ちゃんから、昔の尊くんの話が出たときはもっと尊くんのこと聞きたい、って思ってたけど言えなくて,,,」
「うん,,,」
「昨日、尊くんが私の許婚だったことがわかったときは本当にビックリしたけど、相手が尊くんで嬉しかったし、長い間こんなに大切に思ってくれてたなんて、私,,,本当はずっと昔から,,,」
潤んだ目を向けてくる咲夜の次の言葉に期待がこもる。
「尊くんのことが好き」
咲夜が呟いた言葉。
それは、尊の積年の思いを満たす、宝物のような言葉だった。