凛々しく、可憐な許婚
「咲夜」

「尊くん」

一旦二人の唇が重なりあうと、それはお互いの想いを確かめ合うかのように何度も何度も繰り返された。

貞操観念とか、結婚までの順序とか、今の二人にはそんな立て前は必要なかった。

"愛しい人のすべてを知りたい"

"一つになりたい"

大人になった二人があたためてきた恋は、ピュアな高校生の時よりも打算的で、周囲に翻弄されてきたものではあったが、その想いは誰よりも純粋で相手を思いやる気持ちに溢れていた。

「私のことを知って嫌いになりませんでしたか」

「毎日好きになってる」

「私も」

お互いを求める気持ちが加速し熱をもっていく。

体を重ねることは単なる生理的欲求を満たすためのものではなく、心を満たすことに繋がるのだと実感しながら、二人は愛を確かめ合う。

満たされた心と体を抱き締め合いながら、ゆっくりと二人は深い眠りについた。


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