凛々しく、可憐な許婚
「今夜は事前に通達していた通り、中高合同の職員歓迎会です。鈴木先生、吉高先生、井上先生、,,,、は歓迎者ですからもちろん強制参加。光浦先生も参加されますよね」

「ええ、今年は幹事ですから」

新入生テストの採点をしていた咲夜は、訪ねてきた教頭先生に笑顔で応答した。

そう、今夜は職員歓迎会。教師だけでなく、事務員も含めこのはな学園の中等部、高等部合わせて総勢100名余りの職員が参加予定だ。

今年の幹事である咲夜は、このはな学園職員歓迎会会場として毎年利用されている"カジュアルホテルブリリアントこのはな東京"のパーティルームに予約の確認を済ませていた。

いわずもがな、咲夜の父の経営するホテルである。

このホテルを利用しているのは"学園長の伝手"ということになっているので、教師たちはホテル経営者と咲夜の関係を知らない。

この三年間、二人が身内だと悟られないように、父も咲夜もパーティ会場での接触は避けていた。

歓迎会とはいえ、いつもジャージかラフな格好の教師たちがお洒落して参加する様子は、さながらパーティのようである。

今日はテストのため、午前中授業。早めに会場入りして袴に着替える予定だ。

放課後になり、咲夜はもう一人の幹事である体育教師の深瀬亮太(24)とタクシーで会場に向かった。

「光浦先生と一緒に幹事なんてラッキーだなぁ。ここ数日、周りの男性職員に羨ましがられて大変でしたよ。いつも鈴木先生か吉高先生が近くにいるから、みんな光浦先生に近寄れなくて残念がってるんです。今日は絶好のチャンスだから、あっちこっちから声かけられるでしょうね。光浦先生」

大柄でマッチョな深瀬には、2年家政科の担任である23歳の高村一美という彼女がいる。二人は公認の仲だ。

だから、咲夜は安心して深瀬と話すことかできるのだか、こうして冷やかされるのはあまり好きではない。

「そんなことはありませんよ。このはな学園にはお綺麗な先生が多いですから」

そういって微笑む咲夜は、自分が桁違いの綺麗さだということに本人は気づいていない。
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