凛々しく、可憐な許婚
「只今より、このはな学園高等学校、中等部合同の職員歓迎会を開催いたします。幹事は高等部より光浦と深瀬先生、中等部より迫先生、原先生で執り行ってまいります。どうぞよろしくお願いいたします。それでは,,,」
綺麗な袴姿、無駄のない司会進行。
誰も座りたがらないはずの前方の席は、咲夜のファン教師と事務員が陣取っている。
「光浦先生、凄い人気ですね。気になりますか?」
いつの間にか尊の左横の席に座っていた吉高が、ニヤニヤと話しかけてきた。
「えー、鈴木先生も光浦先生のファンなんですか?違いますよね」
右隣には、井上まで座っている。正直うんざりだが、尊はいつもの王子スマイルで微笑んだ。
「光浦先生はお綺麗ですもんね。ファンが多いのは頷けます」
「俺は気になるよ」
吉高は、攻撃的な視線を尊に向けてきた。
「鈴木先生、彼女はいないんですか?先日、可愛らしいお人形のような女性と一緒にいるのを見かけましたが」
おそらく、結婚式の打ち合わせをするために待ち合わせをしていた鍋倉のことを言っているのだろう。尊の隣の席には、もう一人男性がいた筈だが、窓の外からは見えていなかったのかもしれない。
吉高は、第3者にこの話を聞かせて噂を広めさせるつもりなのだろうか。それならば逆手にとってやる。
「ああ、あの方は違いますが、真剣にお付き合いしている人はいますよ」
尊は、吉高だけでなく、井上に聞こえるように言った。
「光浦先生もお付き合いしている人がいるはずですが?」
吉高は、それを聞いても動揺している素振りはない。
「まだ"結婚"しているわけではいないんですから、俺にもチャンスはありますよね」
「それなら私にもありますね」
吉高に便乗するように井上も言った。
「いえ、ありませんよ。残念ながら」
尊は容赦なく言い切った。邪な心など一切持っていないことを示さなければ。
「あまり高座に胡座をかいていると足元をさらわれますよ。気を付けて」
不遜な微笑みを浮かべる吉高に
「気を付けます」
と、尊は言って笑顔を返した。
尊と咲夜の婚約のことを知っていて、吉高は咲夜にアプローチをかけているのだと確信した。
「新規採用者、異動者の先生方および事務職員の皆様はステージ中央にお並びください」
と、司会者である咲夜の呼び出しが聞こえた。
尊、鈴木、井上は連れだってステージに向かった。
綺麗な袴姿、無駄のない司会進行。
誰も座りたがらないはずの前方の席は、咲夜のファン教師と事務員が陣取っている。
「光浦先生、凄い人気ですね。気になりますか?」
いつの間にか尊の左横の席に座っていた吉高が、ニヤニヤと話しかけてきた。
「えー、鈴木先生も光浦先生のファンなんですか?違いますよね」
右隣には、井上まで座っている。正直うんざりだが、尊はいつもの王子スマイルで微笑んだ。
「光浦先生はお綺麗ですもんね。ファンが多いのは頷けます」
「俺は気になるよ」
吉高は、攻撃的な視線を尊に向けてきた。
「鈴木先生、彼女はいないんですか?先日、可愛らしいお人形のような女性と一緒にいるのを見かけましたが」
おそらく、結婚式の打ち合わせをするために待ち合わせをしていた鍋倉のことを言っているのだろう。尊の隣の席には、もう一人男性がいた筈だが、窓の外からは見えていなかったのかもしれない。
吉高は、第3者にこの話を聞かせて噂を広めさせるつもりなのだろうか。それならば逆手にとってやる。
「ああ、あの方は違いますが、真剣にお付き合いしている人はいますよ」
尊は、吉高だけでなく、井上に聞こえるように言った。
「光浦先生もお付き合いしている人がいるはずですが?」
吉高は、それを聞いても動揺している素振りはない。
「まだ"結婚"しているわけではいないんですから、俺にもチャンスはありますよね」
「それなら私にもありますね」
吉高に便乗するように井上も言った。
「いえ、ありませんよ。残念ながら」
尊は容赦なく言い切った。邪な心など一切持っていないことを示さなければ。
「あまり高座に胡座をかいていると足元をさらわれますよ。気を付けて」
不遜な微笑みを浮かべる吉高に
「気を付けます」
と、尊は言って笑顔を返した。
尊と咲夜の婚約のことを知っていて、吉高は咲夜にアプローチをかけているのだと確信した。
「新規採用者、異動者の先生方および事務職員の皆様はステージ中央にお並びください」
と、司会者である咲夜の呼び出しが聞こえた。
尊、鈴木、井上は連れだってステージに向かった。