凛々しく、可憐な許婚
「このはな学園横浜校から異動となりました、化学を担当します鈴木尊です。弓道部の副顧問です。よろしくお願いいたします」

ダークグレイのスーツに紺のネクタイがとても似合っている。

幹事の原先生だけでなく、新人からベテランまで、ほとんどの女性教師および事務員が尊に見とれているのが咲夜の司会者席からもよく分かる。

咲夜にとっては高校の時から見慣れてきた光景だが、大人になった尊は更に洗練されて格好いい。

続いて吉高と井上も挨拶をする。

明るくて精悍な容姿の吉高は、このはな学園高等学校女子生徒からの人気を尊と二分するほどのイケメンといわれている。

吉高の軽いノリが咲夜は苦手だったが、最近は紳士に接してくるのでそこまで苦手ではなくなった。

さりげない優しさ、適切なタイミングを見計らって声かけをしてくれる思いやり。何より同じ国語教師として話が合う。

好きな本や文学が近いこともわかった。

"こんなお兄さんがいたらいいのに"

といったところか。

全員の挨拶が終わった。

「それでは、乾杯の挨拶を副学園長の中原先生よりたまわりたいと思います」

無事に乾杯の挨拶にこぎ着けることができた。

乾杯の合図のあと一斉にグラスが合わさる音が聞こえた。

「それでは、お食事をとりながら、しばしご歓談にておくつろぎ下さい」

咲夜はマイクを置くと、ほっと安堵の息をついた。
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