主任、それは ハンソク です!

「ん? まだ、何か用でも?」
「いえいえいえいえ、なんでもないでぇーす」

 そういうと、かなり名残惜しそうに久住先輩が部屋を出ていく、も。

「後で、教えなさいよっ」

 小声で私にくぎを刺していくのだけは忘れなかった。

                   *

「んで、この子が、その?」
「ああ、例の旬彩フェアのデザインをした……」

 ああ、そうか。そうでした。

「え、えと。得野と申します」

 ふぅん、と。
 さっきとは全く違う雰囲気で、アジアンビューティーこと、梶山多津巳さんが私を見る。まるで、値踏みでもするかのような視線に、ちょっと、どうしていいのか、わからない。

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