主任、それは ハンソク です!

「デザイナー志望だってトーゴから聞いてるんだけど」

 よ、呼び捨て。

「実績とかは全く無くて、いわゆる、ど素人だって?」
「……は、はい」
「カラーコーディネートとか、何かそれっぽい資格は?」
「こ、これからっ」

 これからかぁ、と髪をかき上げつつ、ため息交じりで呟いている。

「すまん、カジタツ。そっちはこれから積んでいかせる」

 か、カジタツって。
 こんな美人な人相手の呼び名にしては、それはちょっとじゃないですか?

「りょーかい。そのかわり、借り1個ね」

 そういうと、彼女はウィンクしながら茶目っ気たっぷりに言う。何をやっても華のある美人は様になるんだ。

「やめてくれ、気持ち悪い」

 は? ちょ、ちょっとまって。

「あーあ、まぁた振られちったぁ」

< 115 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop