主任、それは ハンソク です!
10 / 主任、やっぱりあなたがわかりません
「梶山多津巳、清伝堂企画部統括室長って、何する人なんだろうね」
久住先輩がポテトをつまみつつ、テーブルの上の名刺を見る。いつものハンバーガーショップは相変わらず学生ばかりで騒がしい。
「……ほんと、私みたいな派遣には、知らない仕事がいっぱいあるんですね」
完全に卑屈になってる。私。
「あーん違うよ、得野ちゃん。知らないじゃなくて『経験できない』とか『手の届かない』でしょ?」
そういうと、久住先輩はからりと笑う。先輩の適格過ぎる指摘に私の心がずくりと痛む。そう、この梶山さんという人や主任は、私とは本来住む世界が全然違う人たちだったんだ、と今更ながらに思い知る。
勘違いしかけていた自分の馬鹿さ加減に泣きたくなった。
「わ、私。販促に移動してから、ちょっと天狗になってたかもしれない、です」
久住先輩がまーねー、と軽く同意した。
「確かに。ちぃーっと軽くシンデレラストーリー入ってたもんね」
そういうと、したり顔でわしりと潰しバーガーにかじりついた。
「でもさ」