主任、それは ハンソク です!
「いやぁ、これまた午前中なんだけどもぉ。たまったま受けた電話がさぁ」
で、でんわ?
「自分とこの孫が近々見合い結婚するから、あんたのところは辞めさせるっていう、謎のクレーム? 電話だったんだ」
「えっ?」
「しかも、あんたところは上司が部下に手を出す、ろくでもなぁい会社だから、一か月前とかぐだぐだ言わず、今すぐにでも辞めさせるっていう、ね」
久住先輩の表情が暗にお気の毒さま、と言っている。
「わ、わた、わたしっ」
「あーあー、大丈夫」
苦笑して彼女はそういうと、更に声を潜める。
「この件は総務課長にしか言ってないよん。釘崎女子になんか知られたら、あーた。あんただけじゃなく、私らの派遣会社ごとファイヤーじゃん」
どうしよう、心臓が、バクバクしてる。
「まぁ、それに総務課長ってさ、ああ見えて案外口硬いし。まして社員の素行に関わることでしょ? しかもさ、主犯格と目されているのは主任なわけじゃん」