主任、それは ハンソク です!
スーパー・ダイヤスだって十分ここでは大手だし、主任だって、元は広告代理店の日本最大手、清伝堂出身で、今いる部署も広告代理店時代の手腕を買われてのことだ、と言い返したら、さすがに「清伝堂」で驚いてはいた。
でも、すかさず勝気な気性の祖母がしゃしゃり出てきて。
「大手って言っても、やれ粉飾決済だの、やれ政界汚職だの、悪事ばっかりしてる戦後成金の『清州産業グループ』のところでしょうよ。それにしても、そんなところにみすみす尻尾を振って取り込まれる、ダイヤスもダイヤスだね」
祖母の独壇場で、形勢はあえなくひっくり返された。
結局、それ以上言い返す事も出来ず、逃げるように部屋に駆け込んだ自分が、物凄く情けなくて泣けてくる。でももう、涙を流す余力すらないほど、疲れ切っていた。
「……おなか、すいたな」
失敗した。途中で何か買ってくればよかった。今からコンビニに行くのも、まして、下に降りて冷蔵庫を開ける気力すら、もうない。
その時。控えめなノックがした。