主任、それは ハンソク です!

 もう、嫌な予感しかしない。

 その時。

「課長、俺も一緒にいいですか?」

 背後から掛かるその声に、また泣きたくなった。

「悪いけど鈴原主任、ちょっと、個人的な話になるんで……」

 でも、と食い下がる主任に、意外な人物、総務の釘崎主任が立ちはだかった。

「鈴原主任、これは総務人事関連の事案です。きわめて個人的な内容を含むデリケートな懸案なので、すみませんけどご遠慮願います」

 彼女はいつもと変わらず冷静そのものだったけど、なぜかこめかみがプルプルと震えていて。

「得野さんっ!」
「は、はいっ!!」

 彼女の鋭い声音に思わず体が直立する。

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