主任、それは ハンソク です!
「いやぁ、まさか」
その時。
「こんなところで会うとは」
障子の向こう側がにわかに騒がしくなった。
「あらやだ。あの人、やっと来たわ」
佐野さんが茶目っ気たっぷりにそういうと、大人たちも慌てて席に戻った。少しだけ命拾いしたようで、思わず安堵のため息をそっとつく。
「いやいや、遅くなって申し訳ない。今そこで、珍しい人と出くわしてね」
そう言いながら現れた男性は、テレビで見るよりも若々しく思えた。でも、私の視線を釘付けにしたのは、その背後に控えた人。
「あら、まぁ」
なぜか佐野さんもその姿に驚きを隠せないようだ。そしてもちろん、私の家族たちも。