主任、それは ハンソク です!
「……このぉ、性懲りもなく」
祖父が怒りを含んだような声を上げつつ、立ち上がりかけたその時。
「いやぁ、それにしても大きくなったねぇ。いつぶりだい?」
佐野先生が豪快に相手の背中をバンバン叩きながらそういうと、軽くむせつつ大学2年の夏以来かと、と相手の男性、鈴原主任が答えた。
「あの、佐野先生。失礼ですが、そちらの方は?」
向こうの母親が困惑しながらそう問うと、すかさず祖母が口をはさんだ。
「どうもこうも、この男。うちの孫を誑かしてるんですよ」
みんなの視線が一斉に主任に集まった。
「今流行りの、なに? ストー、カぁっていうんですか? あれですよ、あれ」
祖母に呼応するように、祖父もここぞとばかりに罵る。
「先日もそうだ。嫁入り前の若い子を無理矢理連れまわして、挙句にへべれけに酔わせて、何をしようとしてるんだ、と叱ってやったばかりですよ」