主任、それは ハンソク です!

「うちの家内が彼のお見合いをセッティングするのは、もう10回以上でね。いい加減、自分の身の程を知ればいいものを、あの、なんだ。何だか娘サーティファイブだかっていうアイドルとかをだね、追いかけていて、挙句にはその子たちのような10代の嫁さんが欲しいだなんて言い出すものだから、家内もほとほと困っていたんだよ」

 いや、待って。10代を所望で、さすがに26歳の私は無しでしょ。

 主任が徐に口を開いた。

「確かに、彼女は実年齢よりもかなり若く見えますし、たぶん、その、乙女倶楽部サーティエイトだと思うんですが、そのセンターの三好柚希にもかなり似てます。でも、それにしたって先生、ちょっとひどくないですか、これは」

 それは確固たる非難の声だった。面目ない、と苦笑する佐野先生に、祖父が、はたと我に返ったらしい。

「き、貴様っ、さっきから聞いていれば、佐野先生に対しても生意気な物言いばかりで」

 そう言いながら、今度こそ鈴原主任の方へとすごい剣幕で向かっていく。

 その時。

「失礼いたします」

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