主任、それは ハンソク です!
黒服の厳つい男性が2名、音もなく現れると即座に祖父を両脇から抑え込む。
「な、何なんだっ! このっ!」
両側から抑え込まれたまま喚く祖父を祖母が慌てて助けに行くも、その時、佐野さんが戻ってきた。
「あー、嫌になっちゃうわ。広志君ったら、もう、ちょーお冠で」
そう言いつつ、なぜだか楽しそうに笑うと、今度はあらあら、と祖父母たちの様子に目を止めた。
「あのねぇ、貴方たちは私の旦那様のセキュリティポリスでしょ? 確かにこちらの坊ちゃんも貴方たちからすれば『要人』かもしれないけれど、そこはしっかりわきまえてちょうだい」
「……あ、あのぉ、要人って」
祖母がおどおどと尋ねる、と。
「あれ? 東吾くん、言ってなかったのか? 君の御父上が誰か」
ちょっと面白がる佐野先生に対し、苦虫を噛み潰したような顔で鈴原主任が、誰が言いますかっ! と反論している。