主任、それは ハンソク です!
2 / 主任、あなたがとっても苦手です
「お、来たか」
「……は、はぁ」
鈴原主任がデスクのモニタから顔を覗かせると、すかさず立ち上がる。つかつかと歩み寄ってくる彼の姿勢がことのほか綺麗で、ついうっかり見入ってしまった。
「荷物、これだけか?」
そう言いながら主任は私が抱えた段ボールに手をかける。
「あ、あああああ、あの大丈夫ですからっ」
慌てて段ボールを抱え直すも、ひょいと持ち上げられてしまった。
「とくいの席だけど、ここだから」
そう言いながら一番奥の窓際の、パソコンモニタが三台も並ぶ机に荷物を置かれた。
「あ、あの」
口の中がカラカラに渇く。自分の名前を訂正するのは未だに慣れない。