主任、それは ハンソク です!
「そんな顔するな、悪いようにはしないから」
自分がそんなに不安そうな顔をしていたのか、と初めて気づく。
「んじゃ、また明日」
清住さんが童話に出てくる不思議な猫みたいな笑顔でそういうと、さりげなく美知留さんの腰に手を添えてエレベーターに乗り込んでいく。美知留さんの困ったような、でも、幸せそうな笑顔が目に焼き付く。
私は主任といる時、どんな顔をしているんだろう。
あんな素敵な笑顔だったらいいのに、と、そう思った。