主任、それは ハンソク です!

 対して私の実家の方は。
 佐野ご夫妻の助力もあってなのか、鈴原家と繋がりが出来ると掌を返したようなはしゃぎぶり。
 もちろん、主任がしっかり私と家族との間に一線を引いてくれているから、私を強引に連れ戻すとか、そういう事は起こっていない。

 ただ、この同棲状態には断固反対で、いくら結婚前提とはいえだらしない、とにかく一旦家に帰ってこいと、うるさい。もちろん、帰るつもりは一切ない、としっかり断っている。

 私の人生は私のもの。
 だから、自分の思うようにするって、決めたから。

「ん、このサラダのドレッシングもうまいな。出来合いじゃないだろ? これ」
「えーっと、冷蔵庫に中途半端なフレンチドレッシングがあったから、それに、ちょっと豆乳と粒マスタードを入れて量増ししただけです、けど」

 すごいな、とつぶやくと、そのままわしわしとサラダを食べる。

 東吾さんは基本、好き嫌いの無い人で、今もそうだけど、食べ方や飲み方が結構豪快。だけど不快な感じは一切なくて、むしろ見ているこちらがつられてしまうくらい、美味しそうに食事をする。
 それに、さっきも今もそうだけど、ちゃんと「うまい」と声にだして言ってくれる。だから、つい私も調子に乗ってあれこれ作ってしまう。

< 184 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop