主任、それは ハンソク です!

「なるべく、早く、部屋を探します」

 ん?

「長居はしません。だから、そんなお気遣いは」

 あれ?

「主任は私が家を出る手助けをしてくれたんですから、それだけで、もう、十分すぎて」

 ちょっと、まってくれよ?

「だから、これ以上、ご迷惑をおかけするわけには」

 彼女は、何を言っているんだ?

「ごめん、ちょっといいか」
「はい?」

 小首を傾げた彼女の頭上に、大きな疑問符が浮かんで見えた。

 本当に、こう、ちょっとした仕草も、彼女は可愛い。
 そうかっ! これが今、巷を騒がしている、あざと可愛いというやつなのか。

< 191 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop