主任、それは ハンソク です!
3 / 主任、もうどうにかしてください!
「とくみずっ、ちょっといいかっ」
主任の声にコーヒーを入れる私の手が止る。今日も朝から主任は声が大きい。
「これ渡しておくから、今日は一日、ひたすら目ぇ通しといてくれ。仕事はそれだけでいい。俺はこれから打ち合わせで黒田店に行く」
「は、はい」
慌てて自分の胸ポケットを見る。しまった、名札付けてない。慌てて机の引き出しから例の名札を取り出すと、胸元に装着する。よし、これで大丈夫。
「たぶん、そのままちょっき……」
主任の視線が私の名札に留まったまま、固まっている。まずい、大声がくる。私は咄嗟に身構える。
「……と、とくの」
押し殺したような呻きが頭上から聞こえる。そろそろエネルギー充填が終わった頃かもしれない。覚悟はできてる、さぁ、どんと来い!
「……すまない、また間違えた」
あれ? 大声が、来ない。