主任、それは ハンソク です!
「よぉし。じゃあ明日は夜の6時から『江戸屋』で販促の記念すべき第1回定例報告会、いいな?」
「……はい?」
行ってくる、とにこやかにそう言い放つと、主任は颯爽と部屋を出て行ってしまった。
「えーと……。とりあえず、これを読むのが、今日の仕事、だよね?」
私は気を取り直して、さっき主任から手渡されたリングファイルを開いた。
*
それは、完璧なマニュアルだった。
販売促進部とは何ぞや、から始まり、具体的なPOPの見本とそれに付随する書類や他の部署とのやりとり。それから、ソフトの使い方やPOP作りのコツ、果ては各店舗の店長の好みの作風や、今後の展開までもが図式や若干画伯系なイラストなども交えて詳細に書かれている。
あの不親切で意味不明な説明をしていた人が作ったとは思えないほど、丁寧でわかりやすい。