主任、それは ハンソク です!
「何だ、どうした?」
「お、お戻り、でしたか。ご苦労様、です」
いえいえ、こちらこそ、とつられて主任がそう言うと、思わず互いに吹き出してしまう。
「凄いだろ、これ」
「はい、生鮮コーナーの上で、これがどんっと釣り下がっているのが、なんか、想像できます」
おおおっ! とまたしても主任の大声。でも、何故か今回は驚かなかった。少しは慣れてきたのかもしれない。
「で、イメージは」
主任の声がいつもの感じとちょっと違う。早口で硬い、仕事モードの時の声。
「深緑一面の畑の風景をバックに『旬』の文字です。文字の色は白抜きでもいいでしょうし、この墨を活かすなら白のぼかしで括っても面白いかもしれません」
一瞬、驚いた顔で主任が私をまじまじと見る。
「……なんか、いつもと、雰囲気が違うな」
「へ?」