いつかまた…


偶然を装ったフリをしたものの、なぜかぎこちない自分…

昔から嘘が下手だから。



「今バイト終わったの?」


「は、はい」


ん〜〜〜!!
なぜこうも一言で終わっちゃうかな…


「名前は何ていうの?」


その客は雑誌を元の位置に戻すと、わたしの顔を覗き込む様にそう言った。


…ドキドキドキドキ


「リノです。」


わたし、こんな人見知りだった?
どうしても一言で終わっちゃう。



「俺、タクミ。よろしくねリノちゃん♪」


タクミ…

名前までカッコイイだなんて…


まさにパーフェクト!



「あっ、よよろしくお願いします!」


…って、

何をよろしくなのよ!


「今から帰るの?」


「はい。今帰る途中でしたから…」


「…そっか」


えっ??
まさかの会話終了?!


何か話さなきちゃ。


「タクミさん、これから暇ですか?」


嘘嘘嘘っ!!
何を言ってるんだわたしは…


思わずタクミから目を反らしたわたしは、かなり動揺してた。


持ってた雑誌を床に落としてしまう。


焦ったわたしは、素早く雑誌を拾おうと手を伸ばしたその瞬間……



わたしより先に雑誌を拾ったタクミは、思わぬ事を口にしたんだ。















「俺、明日仕事休みだし、今から二人でどっか行く?」
















……


今何て?


突然の事で頭はパニック状態。


今から二人で?


どこに?


嘘っ!


嘘だよね?!



心臓がドキドキしすぎて、今にも飛び出してきそう。


「バイト終わりで疲れてるよね…ゴメン。」


時間が一時停止していたわたしは、返事を返す事を忘れてた。


行かない理由なんてないじゃない。

あなたとなら地獄でもお供します!


「行きましょうっ!」



思わず大きな声で返した返事。

二人だけしか居ないコンビニの中で、無意味に響いていた。



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